河井克行・元法務大臣、安倍内閣で総理大臣補佐官の手記から
現職の頃、若手の無派閥の自民党議員を対象に、「向日葵会」という勉強会を作っていた。ある日、総理をお迎えして食事会を開くことになった。
「あんまり奇麗なお店じゃないんですけど、東京で一番おいしい広島お好み焼き屋さんなんです」
「そういう店がいいんだよ。お好み焼き、いいねえ、大好きだから」
総理は本当にお好み焼きを楽しみにしておられていて、当日の昼食は、夜に備えて軽めに抑えられていたそうである。そんなところに、総理の律儀なお人柄が出ているように思う。
当初30分程度の予定が、2時間たっても腰を上げようとされない。G7、G20、外国首脳との会談の裏話を面白おかしく若手に語ってお聞かせになる。イライラした秘書官が、総理の好物のアイスクリームを用意してお開きになった。
総理を先導して店の外に出ると、新橋柳通りの歩道には、数百メートルの黒山の人だかり。その人たちに、総理はハイタッチでお応えになる。多くに人たちに愛され、そして彼らの気持ちに気さくに応じておられる様子を拝見して、胸がじんと熱くなった。
その人好きのする大らかなご性格は、外交をおこなう上でとても大きな財産であった。そしてその根底には、確固とした大きな哲学と胆力があった。
月刊Hanada 2022年9月号から要約

